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卒業研究案内

合田研究室では、人々が健康で長生きできて、かつ持続可能な社会を実現するための研究をしています。健康で長生きするためには、癌などの病気を早く、正確に発見すること、更に病気の原因を理解し、的確な治療法・治療薬を開発することが必要です。また、持続可能社会の実現のためには、食料が低コストに供給され続けること、化石燃料に頼らないエネルギー源の開拓などが不可欠です。

私たちは、物理化学的視点に基づいた新しい計測技術の開発と応用によってこのような問題に取り組んでいます。たとえば、大量の血中細胞を迅速かつ正確に検査する手法を開発すれば、血液検査で癌が発見できるようになります。また、藻類がバイオ燃料を産出する機構を明らかにすれば、遺伝子操作等によってより高効率なバイオ燃料の開発が可能になります。これらの話は夢物語ではなく、既に我々の研究グループで原理検証に成功しており、現在さらなる応用や実用化に向けた研究開発が進められています。

私たちの研究を一言でいえば、複雑な生命現象を物理化学の視点で理解し、更には制御・利用することですが、言うは易く行うは難し、世界中の研究者が同じようなお題で切り口を模索しているのも事実です。若い皆さんの斬新なアイディアで新しい分野を開拓するチャンスの大いにある研究分野といえるでしょう。これまでに合田研究室に配属された卒研生はそれぞれの得意分野を活かし、独自性の高い研究を展開してくれました。

合田研究室には多くの教員や研究員・学生が在籍しており、卒研生は合田教授からだけでなく、彼らからも直接アドバイスをもらいながら研究を進めることが出来ます。また、月に一度は合田教授と教員の3人による打合せを行い、研究の方針や進捗、問題点に関して話し合います。多くの学部4年生にとって研究は初めてで分からないことも多いかと思いますが、上記のようなサポートにより、研究をスムーズに進められる体制を整えています。このようなサポート体制と卒研生の頑張りにより、過去には卒業論文の内容が学術論文誌に採択された例もあります。合田研究室で修士課程や博士課程に進学すると、研究室内奨学金(月額3~20万円)、海外留学の旅費・生活費、海外学会の参加費・旅費などの資金援助を受けることが可能です。

合田研究室で卒業研究に関心のある学生は合田教授に連絡を取り、卒研テーマや研究室の環境などに関してご相談ください。研究室見学も随時行っています。

Q&A
Q. どのような研究テーマがありますか?
A. 現在、超高速イメージング、デュアルコムラマン分光、蛍光イメージング、NMR分光イメージング、グラフェンフォトニクス、マイクロ流体1細胞解析の開発研究を行っています。またこれらの手法を用いて、グリーンイノベーション領域(バイオ燃料、水質浄化、機能性食品など)及びライフイノベーション領域(がん検査、再生医療、創薬など)への展開を行っています。卒研のテーマとして要素技術開発や未解決問題の解明などに取り組むことも可能ですし、より応用志向の研究テーマも可能です。

Q. どのように卒研のテーマを決めますか?
A. 研究室に配属されたら、まず研究室内の各チームで約1週間ずつ研究の体験をしてもらいます。その過程で基本的な研究の進め方を習得するとともに、教員や先輩とディスカッションしながら自分の興味のある研究テーマを見つけていきます。もちろん、独自の新しいテーマも歓迎です。

Q. 研究室でのdutyはありますか?
A. 組織として研究を円滑に進めるために、平日の午前10時から午後3時まではコアタイムになっています。また、研究室運営のための仕事(セミナーの運営など)をすべての学生・研究員で分担しています。上下関係なく仕事を分担しているので、卒研生の負担が重くなることはありません。

Q. 研究室での発表などは英語ですか?
A. セミナーや雑誌会などは英語で行っていますが、英語発表の仕方を指導するサポート体制があります。日本人同士の日常会話は当然日本語です。

Q. 東大外からの配属も可能ですか?
A. 可能です。まずはお問い合わせください。

Q. 海外で研究をしたいのですが?
A. 海外の研究室との共同研究を通じて留学を支援しています。これまでもUCLAやコロンビア大学での学生留学を資金援助しました。

Q. ベンチャーを立ち上げたいのですが?
A. 基本的な流れとして、まずは研究室内で新しい技術を開発し、東大TLOを通じて特許を獲得することが大切です。その後、ベンチャー企業を設立し、資本金を獲得し、東大TLOからその特許の使用ライセンスを受けて、商品開発を行います。学生のベンチャー起業を全面的に支援しています。

Q. 休みはとれますか?
A. 卒研に遅れが生じない限り、基本的に休みは自由に取れます。大学院入試期間の休みは2か月間です。

Q. 修士課程で卒業した後の就職先は?
A. 大企業からベンチャー企業まで幅広いです。これまでの卒業生はパナソニック、味の素、NTT、キャノン、新日鉄住金、ファイザー、JAXA、みずほ銀行などに就職しています。

卒業研究具体例1:光周波数コムを用いた超高速ラマン分光法の開発と1細胞解析

ラマン分光は光で分子振動を検出する分析化学手法であり、近年、細胞や組織などの生体サンプルを計測することに利用されています。しかしながら、ラマン散乱は信号強度が非常に弱く、高速化することが困難であったため、高いスループットが求められる応用には不向きでした。合田研究室では、光周波数コムを利用した超高速ラマン分光の開発を行っています。また、開発した手法とマイクロ流体デバイスを融合することにより、1細胞解析手法を開発しています。本手法は、血中癌細胞や未分化iPS細胞の検出に資する技術として期待が高いです。

卒業研究具体例2:グラフェンフォトニクスを用いた光と物質の強い相互作用

非線形分光は化学物質や生体物質の分析に有用な方法です。しかしながら、その方法は入射光と分子の相互作用が非常に弱く、計測システムも複雑で、現状では実用的なものではありません。合田研究室では、グラフェンフォトニクス技術を用いることにより、スイッチを入れるだけで動作する実用的な非線形分光システムを実現することを目指しています。この研究を通して、光と物質の強い相互作用によるラマン信号の大幅な増強、ラマン分光システムの簡易化、そして幅広い科学コミュニティーで使用可能な非線形分光技術が実現できると期待されています。

卒業研究具体例3:超高速蛍光イメージング法の開発と生体内分子ダイナミクスの機能解明

蛍光顕微鏡は生物学や医学の研究において不可欠なツールです。これまで2014年のノーベル化学賞に代表される超解像技術が発達する一方で、速度性能(時間分解能)については見過ごされてきました。われわれは超高速な蛍光顕微鏡の開発に着手し、世界最高速である16,000フレーム/秒での蛍光画像の取得に成功しました。これは通信工学分野で用いられる周波数分割多重技術を導入することで実現しました。今後は画像の更なる高速化、高精細化を目指すとともに、生体内の分子ダイナミクスの機能解明や、血液検査などの応用を目指していきます。